つばき洞生活ノート

つばき洞生活ノート

BBSH(Barbara Brennan School of Healing)卒業生による日々の記録です

秋の夜長に1

今にそこそこ満足しているけれども、

 

「あの時ちがう選択をしていたらどうなっていたかな」

 

と思うことがいくつかあります。

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雲間の虹がうまく写らなかった秋分の日の夕方の一枚

なんの為だったったか忘れましたが、

当時東京で学生をしていた兄弟のところに遊びに行った時のこと。

 

日中、個人的に行きたいところに一人で出かけるために新宿のデパートにいました。

 

目的の階で用事を終えて下りのエスカレーターに乗っている時に、

後ろにいたと思われる人が話しかけてきます。

 

その人は私をまるで知っている人とそこで偶然に居合わせたような口ぶりでした。

 

振り返って私が人違いと気づき、

「○○(百貨店)の受付の誰それさんと間違えました、そっくりだから。」

とおっしゃる。

 

そのとき私はは当時の一澤帆布の鞄を持っていて、

あのタグに気づいたその方、ご自分も京都の出だと。

 

でも、全然関西訛りがないのでそれを指摘すると、

仕事柄、関西弁は使わない、自分は○×(百貨店)の外商で、

その仕事でこのデパートに来ている、と。

そういう仕事だから関西弁は使わないのだとお話しになった。

 

「あ〜、だから、○×百貨店の社章をあえてつけておられないのですね」

と、私はまたまたちょっと意地悪に指摘してみたり。

 

そのあと、なんとなくそのデパートの近所の超・昭和な喫茶店でお茶をご馳走になった

 

・・・ついていく私もどうかと思うが、その時は好奇心半分とこれくらいの状況ならすぐにどうとでも危険を回避できると思ってついて行ったと思う。

 

その喫茶店でなんの話をしたのかはあまり覚えていない。

 

その頃、ちょうど宝石にまつわる大規模な詐欺事件が起きていて、

大手の百貨店もそれに巻き込まれていた。

その処理でライバル(?)百貨店を訪れていた、とその人は話していた。

 

その事件の話はこっちから振った・・・それくらいに、およそ50歳くらいのその人と大学院生の自分との共通の話題がなかったからね。

 

すると、唐突にその人が、

 

「東京に出てくる気はない?もし出てくる気があって、金銭的な理由でそれが実現していないのであれば自分が色々手配をしてあげよう。」

 

と言い始めた。

 

意味がわからなかった。

 

大井川どころか、

天竜川を越えれば、

「ああ〜東国にきたな〜・・・」

とアウェイ感に満たされてしまう関西人が、

東京にさしたる目的もなしにくるなんぞ言語道断。

 

当時は修士課程にいたけれども、

博士課程に進む気はなかったし、

仮に進んでも近畿から出る気は無かったし。

 

「いや、いいです、東京に出てくる気もありませんし、お金にも困っていませんから(実際、困っていないので)」

 

とお断りする。

 

「そうですか」と別の話題に向かうも、結局は、

 

「東京に出て来なさい」

 

そう言う話になる。

 

挙句に、

 

「私が育ててあげる」

 

とおっしゃるのだ。

 

今の自分の知らない自分になることに魅力は感じたけれども、

それは誰かから与えられるものではなくて自分で切り拓くものだと思ったので丁重にお断りし、

その人とはそこで別れた(名刺の一枚でももらっておけばよかったかな〜)。

 

あの人は当時の私に何をみていたのだろう?

 

今でもそう思う時がある。

 

当時の私は体調が悪くて今よりも10キロ以上太っていたし、

皮膚の状態も悪くて普通以下の見た目だった。

そもそも、特別に整った容貌ではない。

 

確かに、田舎から出て来た世間知らずの子で、すぐ騙されそうな感じだったのかもしれないね。

 

過大評価してもその程度だったと思う。

 

単なる人買いかしら?

 

と疑ってその人の話していたことを裏付ける取材をしてみたら、

嘘っぽいものは見当たりませんでした。

 

今の状況に不満はないけれども、

あの時あの人について行ったらどうなっていたかな?

とちょっと思う秋の夜長です。