今週のお題「受験」
自分が大学受験現役生だった時のことです。
「ここは大丈夫だろう」
と言われていた学校から次々と不合格通知をもらう中で、
本命の国公立2次試験に臨みました。
センター試験では得意教科だった古典(特に漢文)で失敗をしてしまい、
センター試験後の各種予備校のセンターリサーチでは軒並みD判定。
担任からも絶望的だと言われたものの、
かろうじて試験は受けさせてもらえるらしい、ということで試験会場へ行きました。
当時、私の受けた学部学科は定員の10倍を超えたところで成績順に受験資格を与えない方針でしたから、あの成績で受けることができたところでラッキーだと思いました。
試験当日、
試験官の方が会場に入っていらっしゃいました。
そのかたは50歳くらいのやや長めの髪に髭をたくわえた細面の男性で、
ツイード風のブレザーをお召しでした。
しかし、
私の目を引いたのはそこではありませんでした。
まず、
首に巻かれた手編み風の赤いマフラー。
そして、
試験問題と解答用紙を包んだであろう紺色の風呂敷。
今までのキラキラした私大にはない雰囲気です。
「あの人はいつマフラーを外すのだろう、そして風呂敷・・・」
私の意識は完全に赤いマフラーの行方に持っていかれました、そして試験の最後までそのマフラーは外されることはありませんでした。
マフラーと風呂敷によって緊張した精神がニュートラル状態になり、
数ヶ月後、
そのマフラーの主が母校の名物教授と知ることとなりました。
夏でもマフラーを着用するマフラー愛好会に所属しているとかなんとか。
風呂敷に関しては学科の教授が絵に描いたような唐草模様のものを使っていたので、
隠れた我が校の伝統なのかな、と推測しています。
数年前まで家庭教師=受験生のサポートする側の仕事をしていたこともあって、
この時期は特別な思いがあります。
まず願わくば、
皆が第一希望の学校に受かってほしい。
もちろんそれが一番いい。
でも現実はそうでないことも多い。
私はたまたま第一希望の学校に行くことができたから、
第一志望の学校に行けない思いを乗り越えてはいない。
ただ、指導者の側から多くの生徒さんを見ていて確信するのは、
本当に、その人に必要な場所に行くことになっている、ということ。
あるいは、
そこを必要な場所にする力があなたにはある、ということ。