「笙は大変だね」
と、いろいろな方面からその「やっかいさ」を思い描いてのお言葉をいただくことにはもう慣れました、ええ。
代表的笙の「やっかいさ」とは、
・荷物が多い・・・基本、笙吹きは楽器以外に楽器を温めるための電コンを携帯する
・すぐに吹けない・・・吹く前に電コン等で温めなければならない
・すぐに仕舞えない・・・吹いた後は電コン等で温めなければならない
・洗い替え・・・新品は1年目、その後2年ごとに「洗い替え」が必要
大体、笙自体が他の二管(龍笛と篳篥)に比べたら大きいし、
使用可能な菅の最低ラインのお値段がお高め設定。
一言に「洗い替え」と言うけれども、
それは誰でもできるわけではないうえに所要時間は最短でも半月。
サイズ感では家具の範疇と言っていい筝と17絃や、
特に新幹線のホームでテロを警戒する厳しい目線にさらされる三絃とともに移動する身としては、
個人的に楽器の大きさは大したことはありませんが、
筝、17絃、三絃とは異なり、
一旦、笙の調律が狂ったら、
あるいは最悪その音が出なくなったら、
現状の私ではどうすることもできません。
笙は、本当にちょっとしたことで音が出なくなります。
たとえば目視できないような埃が付着しちゃった、とかでも。
ここ2年ほど、
昨今の感染症の影響を鑑み、洗い替え期限の切れた笙を無理やり吹いていました。
この感染症が蔓延するずっと前に私の管を見てくださっている方が、
「笙の洗い替えって、ある意味では命懸けよ〜」
とおっしゃっていたのも気にかかって。
楽器の構造上(息の入り口はあっても出口はない)、
吹き手の呼気に含まれる「いろいろな物質」が管の中に残ってしまうのです。
しかし、ついに限界到来・・・鳴らない竹が出てきました。
幸い相当に重要な竹=「乙」「乞」「一」「上」は健在であるため龍笛や篳篥は平気でも笙吹きは気持ちが悪くて仕方がありません。
来月中にはオーバーホールをしていただけるようです。
昨今の感染症のおかげで、
私自身と楽器やその延長線上の音楽とのお付き合いに少し変化が生じたように思います
・・・そう、
思い立ったが吉日。