こがれこがれて逢ふ瀬は苦労、楽しむ中に何のその。
人目づつみのあらばこそ。
嬉しい世界に住み馴れて、流れ渡りの船のうち、それも浮世ぞ、帰るにもしかじと鳴きてほととぎす。
風は涼しき
作曲:菊岡検校
筝手付け:八重崎検校
作詞:酒井某
三絃:本調子
筝:半雲井調子→平調子→半雲井調子
菊岡検校の作曲を八重崎検校が移調して筝の手付けをしたもの。
名曲中の名曲。
三絃の4⇄6、三⇄四の推移が特徴的。
三絃の手事の中散しではなかなかの高ツボが現れて苦戦しますね・・・なのに何度も弾いてみたくなるフレーズの連続です。
筝も興味深い手が続いて飽きません。
掛け合いは前歌から緊張感のあるものが続いて楽しいです。
これを一人で練習していると
「なんか休みの多い曲やな」
ってなるみたいね。
実際、わたしが一人パート練習をしているのを通りがかりに耳にされた方が、
「あんなに休みの多い曲で楽しいの?」という趣旨の質問をなさったことがある。
休みが多いから、
手が少ないから、
つまらないのでは決してないです。
手が細かく動くに越したことはないですよ。
わたしはそんな細かいことはできないから細かいことができる人は羨ましい。
掛け合いで休んでいるように感じられるパートは、その間、相手の呼吸を読んでいます。
だから実は余白が一番、難しい。
今から思うと、
その余白を、練習とはいえ、聴かせることができない演奏をしていたんですね。
きっちり相手のパートを心で歌いながら演奏すれば、
聞いている人にその実際には聞こえないはずのその部分も響くものなので。
さて、
記録によると10年前に習った曲のようです。
当時の自分はちゃんと弾けていなかったと思います。
そして、
今でも弾けていないです。