作曲:三絃、筝ともに幾山検校
作歌:惺園煌鳳 菊岡検校とも
調絃:三絃 本調子→二上り、筝 半雲井調子→平調子
琴の音に七年過ぎし夜の雨 軒より落つる面白さ 知らで悔しと唐土の 人の言いけん言の葉を 思い出ずればうべなれや 月雪花の移り香に 浅く染まめや我が袖に 床しく残る磯の春
(手事)
その越し方の慕わるる 同じ心に倣いつつ 世に面白き糸竹の 調べを友となして遊ばん
メジャーな曲ではないけれどもこちらも弾きごたえのある曲です。
大胆な緩急と筝の手の細やかさが特徴かな。
筝が細かい仕事をしている間、三絃はその進行を見守りつつ音を置いていきます・・・「耐えろ!」とか思いながら。
そして弾いてみてわかる、
「これ、いつもの彼(八重崎検校)の手付けじゃないよね」感。
地歌の名曲のほとんどは筝の手付けを八重崎検校が手がけています。
有名な曲でなくても、そう。
そこに八重崎検校の偉大さがあるのですが、やはり「彼の手付けらしさ」というのはそこはかとなく漂うものであります。
この曲はその点で現存古曲としてはレアではないかと。