作曲:菊岡検校
筝手付け:八重崎検校
三絃:本調子→二上り→三下り
筝:半雲井調子→平調子→中空調子
酒は量りなしと宣(のたま)ひし、聖人は上戸にやましましけん。
三十六の失ありと諌め給ひし仏は、下戸にやおはすらん。
何はともあれ八雲立つ、出雲の神は八しおりの、酒に大蛇を平げ給ふ
これみな酒の徳なれや。
大石さけつる畏みも、帝(みかど)の酔(えい)の進めなり。
姫の尊の待ち酒を、ささよささとの言の葉に、伝へ伝へて今世の人も、
きこしをせささ。
劉伯倫(りゆうはくりん)や李太白(りたいはく)、酒を呑まねばただの人。
吉野龍田の花紅葉、酒がなければただの所(とこ)。
よいよい、よいの、よいやさ。
今風に言えば「神回」の、富山清琴師と中能島欣一師の演奏でどうぞ。
比較的長い曲なので集中力を要します・・・「そろそろ終わりかな〜」と思ったら大間違いで、ようやく手事(手事物のここから本番)が始まるのです。
調絃変えも多くて大変ですよ。
しかしまあ、この歌詞の親しみやすいことよ・・・
「劉伯倫(りゆうはくりん)や李太白(りたいはく)、酒を呑まねばただの人。吉野龍田の花紅葉、酒がなければただの所。」
って、歌いながら吹いた。
十数年前に習った曲ですが、
今になってもう一度演奏してみると、また違った心持ちになりますね。
今生で演奏できる間に、あともう何曲の作品でこのような感覚に至ることができるのかしら。