【作曲】松浦検校
【箏手付け】八重崎検校
【作詞】殿村平右衛門茂済
地歌・京手事物、松浦四つ物(=「宇治巡り」「深夜の月」「四つの民」「四季の眺」)のひとつ
【調絃】三絃:二上り→三下り、箏:平調子→中空調子
【歌詞】
梅の匂いに柳もなびく、春風に、桃の弥生の花見て戻る、
ゆらりゆらりと夕霞、春の野がけに芹蓬、摘みかけたる面白さ、
里の卯の花田の面の早苗、色見えて、茂る若葉のかげ訪い行けば、
まだき初音の山時鳥、一声に、花の名残を忘れて、家土産に語らばや
(手事)
草葉色づき野菊も咲きて、秋深み、野辺の朝風つゆ身に沁みて、
ちらりちらりと村時雨、よしや濡るとも紅葉葉の、染めかけたる面白さ、
野辺の通い路一目も草も、冬枯れて、落ち葉しぐるる木枯らしの風、
峰の炭𥧄煙も淋し、降る雪に、野路も山路も白妙に、見渡したる面白さ
富山清琴師と中能島欣一師の共演という、豪華な合奏音源をどうぞ。
9月の演奏会用。
20年くらい前に習ったんじゃないかな。
久しぶりに弾いてみると、
京ものらしくはんなりとしていて、しかし華やかで、
ついていきやすい歌詞と曲調でありながらも独自性ももりもり、と気づく。
習った頃はまだ古曲の世界に入りたてで曲に喰らいついていくのに必死。
鑑賞する余裕なんてなかったわ。
三絃は神仙でとる二上りからの三下りなので三絃弾きとしてはちょっと安心・・・通常よりも一音低いので糸が切れにくい。
高いツボとともに二の絃の四#や三の絃の1・がしばしば登場するので緊張します。