つばき洞生活ノート

つばき洞生活ノート

BBSH(Barbara Brennan School of Healing)卒業生による日々の記録です

さよならのあと

皮膚症状がコントロールできているというだけで今年の夏は快適そのもので、

「え?夏の暑さってこんなに楽なのですか?」

と、世間様との反応温度差を日々味わっているところながら、

冷房も入れてくださってはいるものの、

さすがにまだまだ日中の気温が高いなかでのお一日奏楽はちょっぴりハード。

そこへもって楽器の特性上、火鉢がおまけでついてきます。

 

帰路で寄り道してコストコに寄ってしまったのも、

Zoom部屋の室礼にと注文したものが届いたことに歓喜し、

酷暑環境で開封の儀を行ったのとも重なって、

売り場で目撃した時には目に美味しかったハイローラーもサーモンポキも全く受け付けない地点に到達していました。

エアコンを入れてくださってサーキュレーターも扇風機も随所に配置されていながらのこの体たらくの一因は衣装に加えて持ち管の性質ゆえ。

この酷暑においても火鉢を抱えざるを得ないのは笙吹きの宿命。

 

そんな様子を前宮司さんは茶目っ気たっぷりにいじってくださったわね。

来週には50日祭ですって。

門前町に掲げられたポイ捨てに関わる立て看板に込められた前宮司さんの想いなんて、

亡くなったあと、ご葬儀の日に新聞の地域欄がわざわざ取り上げてくださって初めて知ったわよ。

 

通夜祭、遷霊祭からの葬場祭と帰家祭で奏楽させてもらって帰途に着いた時、

使い始めてかれこれ10年近くになる、

これまで一度たりとも誤作動を起こさなかった愛車のオーディオシステムは、

その神社でのご用があるときにはいつも車を停めさせてもらっているスペースから出て、

「いよいよ神社から離れるね」

という瞬間に二度、「ふつ、ふつ、」と不可解な長い空白の時間を、

エンジン入れたてで冷房が最大出力で頑張っている最中の車中にもたらした。

 

「宮司さん?」

 

一瞬、そう思ったけれども、

私のようないち怜人風情を相手にするほど宮司さんはお暇ではないでしょうし、

一方でサービス精神旺盛な方でもあったことから、

「それもアリ」なんて思わせてくださる。

 

そんなことがあってからおよそ50日。

前宮司さんの軽口を二度と聞けないことにまだ慣れない。