作曲:幾山検校
箏手付:幾山検校?
作詞:川瀬霞紅園
調絃:三絃本調子→三下り→本調子、箏四上り半雲井→半雲井調子
地歌・京手事物
「笹の露」(合の手同士)「磯千鳥」(散し同士)と打ち合わせ
歌詞:
何時しかも、招く尾花に袖触れ初めて、我から濡れし露の萩、今さら人は恨みねど、
葛の葉風のそよとだに、音ずれ(訪れ)絶えて松(待つ)虫の、ひとり音(寝)に鳴く(泣く)侘しさを、
夜半に砧を打ち添えて(合の手)いとど思いを重ねよと、月にや声は冴えぬらん(手事)
いざさらば、空行く雁に言問わん、恋しき方に玉章を、送る便(よすが)の有りや無しやと
長らく訪問の途絶えた恋人を思う気持ちと情景を歌う内容で、
「葛の葉」が出てくるあたり、病みは深そう・・・と思ったら、
能の演目『砧』と同じような女性の心情を秋の情趣に乗せて歌った、とのことで納得。
本家『砧』の方では長年家を空けている夫を思って毎晩砧を打ち続け、
ついには無くなってしまうという妻の執念が主題。
秋の情景を描写した手がこれでもかと盛り込まれ、
三絃に関しては、高音域での薬指のハジキに加えて、
その前後の文脈の異色な表現に翻弄されています・・・むずかし。
秋を歌った曲、特に「萩」と「虫の音」はみんなの大好物よね〜、な一曲。
そしてかつては「許し物」だった大曲です。
巨匠中の巨匠たちの合奏でどうぞ。